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有田陶器市2025、無事終了。白磁に込めた想いが伝わるひとときに感謝

庄村久喜の器作品:圧倒的に料理を引き立たせる光沢がある白磁。ウェスティンホテル東京にて日本料理「舞」でのコラボレーション企画より
日本料理とのコラボレーション

 

今年も、有田陶器市が無事に終了いたしました。

 

期間中はお天気にも恵まれ、多くの方が足を運んでくださいました。

 

お越しくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

 

この陶器市は、日頃の制作とはまた違った緊張と喜びに包まれる特別な時間です。

 

作品を手に取っていただき直接お話しできる機会は、

 

作り手として何よりも貴重なもの。今回も多くの方との出会いに支えられました。

 

私がつくる白磁は、一見するとシンプルに見えるかもしれません。

 

けれどその中には、手仕事ならではの温かさ、素材の持つ静かな強さ、

 

そしてロクロの回転から生まれるリズムのようなものを込めています。

 

さらに、表面にはシルクのようにやわらかく上品な光沢があります。

 

それが、静けさの中にも確かな存在感を与えてくれます。

 

とても嬉しかったのは、そうした想いを私が言葉にするより先に、

 

お客様が自然に感じ取ってくださったことです。

 

 

「これは、ただの白磁じゃないね」

 

 

といった声を何度もいただきました。

 

作品に宿る気配や質感が、静かに伝わっていたのだと感じています。

 

今年は海外からのお客様も多く、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど、

 

様々な国からお越しいただきました。

 

その中で今年の陶器市のハイライトになったのが、

 

韓国からいらした数名の若い女性が私の白磁をとても気に入ってくれたことです。

 

言葉は少なくとも、表情や仕草から伝わる思いに胸が熱くなりました。

 

白磁という静かな器が、国境を越えて誰かの心に届く。

 

その瞬間に立ち会えたことは、忘れられない出来事です。

 

こうした出会いは、私にとって何よりの励みです。

 

作品は私の手を離れ、それぞれの暮らしの中で新たな物語を紡いでくれることでしょう。

 

次回の展示は、8月末に広島で予定している個展です。

 

こちらでもまた、新たな出会いがあることを願いながら、制作に向き合ってまいります。

 

 

改めて、有田陶器市にお越しくださった皆さま、本当にありがとうございました。

 

これからも、静けさと輝きを内包した白磁を、丁寧に生み出していきたいと思います。