
まず前提として聞いてほしい。
私は磁器の粘土として、熊本県・天草地方で採れる“磁石(じせき)”を使っている。
この磁石という石、世界的に見ても希少性がとても高い。
なにしろ混ぜ物なしで、そのまま粘土になる石なのだ。
それでいて、驚くほど白く、そして粘りがある。まさに特別な石。
この石には「特等級、1等級〜4等級」がある。
しかし今では、特等級はすでに採れない。
1等級の石も、ほとんど残っていない。
なぜ等級が分かれるのかというと、石に含まれる“鉄”の量が違うからだ。
鉄はランダムに塊で入り込んでいて、特等・1等級はほとんど鉄が付着していない。
2等級になると少しだけ鉄がある。
私がお世話になっている香田陶土さんは、
この鉄を一つ一つ“はつり”、丁寧に取り除いている。
3等級以下になると、もはやはつる意味がないほど鉄が多い。
私が使っているのは「天草特上粘土」。
つまり現在手に入る2等級の石を香田陶土さんが丹念に鉄を取り除いてつくった粘土だ。
本当にありがたい。
そして──忘れてはいけない現実がある。
天草の原石は、いまも枯渇が進行中だということ。
希少性は年々上がり続けている。
だからこそ思うのだ。
陶芸に関わる私たちは、この石が“特別な存在”であることを枯渇問題とともに伝えていかなければならない。
磁器の品格、美しさは、この石があってこそ生まれるのだ。
そして、その美しさを守り続けてくれる陶土づくりの方々への感謝も、決して忘れてはいけない。
そんなことを考えながら──
今日も私は、ろくろを回しているのである。

コメントをお書きください