有田の町が、少しずつ騒がしくなってきた。
4月29日から5月5日まで、有田陶器市が始まる。
この時期になると、普段は静かな通りにも、期間限定の店が立ち上がりはじめる。
一週間ほど前から、慣れない手つきで什器を組み、品物を並べる人たちの姿が目に入る。
町全体が、ゆっくりと「市」の顔に切り替わっていく。
私の家兼ギャラリーは、明治29年、最初の陶磁器品評会が開かれた桂雲寺の近くにある。
いわば、この陶器市の発祥地にほど近い場所だ。
しかも、通りはメインストリート。
斜め向かいには今泉今右衛門窯もあり、毎年、多くの人が行き交う。
だからこそ、特別なことをしている感覚は実はあまりない。
むしろ、この場所にいる以上、当たり前に迎え入れる側にいるという意識のほうが強い。
とはいえ、準備は必要だ。
以前は、重たいテーブルを奥から運び出し、人手をかけてようやく整えるような状態だった。
だが、5年ほど前からやり方を変えた。
最小限で成立する形に整えたことで、今では前日からでも一人で準備ができる。
ぎりぎりまで普段の制作を続け、最後に整える。
それくらいのリズムのほうが、自分にはちょうどいい。
毎年のことではあるが、同じ年は一度もない。
人も、空気も、出会いも、その都度違う。
今年は、どんな出会いがあるだろうか。
この場所で、どんな時間が流れるのか。
たくさんの方とお会いできることを、楽しみにしています。

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