現在、夏と秋に控えている個展に向けて、制作の日々を送っています。
ろくろに向かい、磁器土と向き合い、形を整え、削り、乾かし、焼く。
その繰り返しは、いつも通りのようでいて、今の私にとっては少し違う時間になっています。
昨年から新しく取り組んでいる造形の作品も、時間はかかりますが、少しずつ、確実に形になってきました。
これまで私が大切にしてきた白磁作品は、形も、線も、面も、すべてをできる限り制御し、
静けさの中に緊張感を宿す仕事です。
一方で、新しい造形の作品は、その制御から少し離れる仕事です。
磁器という素材の中にある荒々しさ、動き、力のようなものを、無理に抑え込むのではなく、むしろ表に引き出していく。
整える仕事と、手放す仕事。
静かに制御する仕事と、素材の力を受け止める仕事。
まったく違う二つの制作を行き来することで、私自身、以前よりも健やかに、
そして楽しく制作できているように感じています。
もちろん、楽しいだけの仕事ではありません。
どちらの制作にも厳しさがあります。
むしろ、方向性が違うからこそ、それぞれに求められる集中力も、判断も、覚悟も違います。
けれど、その違いが今の私にはとても大切なのだと思います。
さて、お知らせです。
「第60回記念 西部伝統工芸展」が、2026年5月27日(水)から6月1日(月)まで、
福岡市天神の岩田屋本店 本館7階 大催事場にて開催されます。
例年とは事情が異なり、今年は福岡三越ではなく、岩田屋本店での開催となります。
また会期中、5月31日(日)12時より約40分、私、庄村久喜による作品解説を行います。
会場に並ぶ作品について、素材、技法、見どころなどを、できるだけ分かりやすくお話しできればと思っています。
今回の西部伝統工芸展では、自由作品の部において、監査委員として入選・落選の鑑査を務めました。
鑑査の場に立って改めて感じたことがあります。
九州の陶芸のレベルは、やはり高い。
これは身内びいきではなく、率直な実感です。
私は磁器を主な素材として制作しているため、特に磁器作品には自然と目が向きます。
その上で見ても、九州における磁器作品の層の厚さ、技術の確かさ、表現の多様さには、
あらためて感じるものがありました。
伝統工芸という言葉は、ともすれば古いものを守るだけの世界のように受け取られることがあります。
しかし実際の会場には、今を生きる作り手たちの試行錯誤があります。
受け継がれてきた技術を土台にしながら、それぞれの作家が今の表現を探している。
そこには、静かな緊張感があります。
派手な言葉ではなく、作品そのものが語る世界です。
第60回という節目の展覧会でもあります。
また今回は記念展ということもあり、福岡、熊本に加え、沖縄へも巡回いたします。
福岡会場は岩田屋本店、熊本会場は鶴屋百貨店、沖縄会場はおきなわ工芸の杜での開催です。
いずれの会場も観覧無料です。
詳しくは、ぜひ日本工芸会公式ホームページをご覧ください。
西部伝統工芸展は、九州・沖縄・山口という地域に根ざした工芸の現在地を知ることができる貴重な機会です。
陶芸に限らず、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸など、さまざまな分野の作品が並びます。
素材と技術と表現が、どのように結びついているのか。
作家が何を見つめ、何を形にしようとしているのか。
そうした視点でご覧いただくと、より深く楽しんでいただけるのではないかと思います。
私自身も、出品者として、また鑑査に関わった一人として、この展覧会に対して特別な思いがあります。
高いレベルの作品が並ぶ「第60回記念 西部伝統工芸展」。
ぜひ会場にてご高覧いただけましたら幸いです。
5月31日(日)12時からの作品解説にも、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
第60回記念 西部伝統工芸展
福岡会場
会期:2026年5月27日(水)〜6月1日(月)
会場:岩田屋本店 本館7階 大催事場
観覧料:無料
熊本会場
会期:2026年6月4日(木)〜6月9日(火)
会場:鶴屋百貨店 東館7階 鶴屋ホール
観覧料:無料
沖縄会場
会期:2026年6月30日(火)〜7月5日(日)
会場:おきなわ工芸の杜
観覧料:無料
作品解説
日時:2026年5月31日(日)12時より約40分
会場:岩田屋本店
解説:庄村久喜
詳細は日本工芸会公式ホームページをご覧ください。
https://www.nihonkogeikai.or.jp/exhibition/seibu/60/?tab=info

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