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白磁の線、石の記憶

白磁をつくっていると、いつも二つの感覚のあいだに立っているように思います。

 

ひとつは、静けさ。

余計なものを削ぎ落とし、かたちの線、白の質感、光の移ろいだけで成立させていく世界です。

 

 

白は、何もない色ではありません。
むしろ、わずかな陰影や、面の張り、線の流れが、そのまま表情になります。
少し強すぎれば硬くなり、少し弱ければ消えてしまう。
だから白磁は、静かでありながら、とても厳しい素材だと感じています。

 

          静けさは、線の中に宿る。
          静けさは、線の中に宿る。

 

上の作品は、私にとってその「静」の側にある仕事です。
やわらかく立ち上がる曲線。
流れるように入る彫り。
白の中に、白では言い切れない奥行きを探している作品です。

 

一方で、もうひとつの感覚があります。

 

 

それは、衝動です。
整えるのではなく、纏わせる。
磨き上げるのではなく、素材の力を前に出す。
白磁になる前の、石や土の記憶のようなものを、もう一度表に呼び戻す感覚です。

           白磁になる前の、石の記憶。
           白磁になる前の、石の記憶。

 

上の作品には、その気配があります。
青白磁の薄い色は、冷たさや氷のようにも見えますが、私の中では単なる装飾ではありません。
表面に現れた凹凸や裂け目、重なりは、自然の中で長い時間をかけて生まれる地層や岩肌にも近い。
ただ荒々しくしたいわけではなく、そこに磁器としての品格を残したいと思っています。

 

静けさだけでは届かない場所がある。
けれど、衝動だけでも作品は成立しない。

 

そのあいだを行き来しながら、今の白磁を探しています。
静と動。
整った線と、素材の力。
祈りのような白と、動き出すような白。

 

この二つは、私の中では別々の仕事でありながら、少しずつ同じ場所へ向かっているようにも感じます。

 

次の展示では、この二つの白磁を、同じ空間の中で見ていただくことになりそうです。
静かな白と、動き出す白。
そのあいだにあるものを、もう少し深く掘ってみたいと思っています。

 

 

熊本へ向けて、少しずつ準備が進んでいます。