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白磁という器、そして私の白

         料理の輪郭を、静かに引き立てる庄村久喜の白磁のうつわ
         料理の輪郭を、静かに引き立てる庄村久喜の白磁のうつわ

 

 

白磁の器は、とてもシンプルです。

 

色絵のような華やかな絵付けがあるわけではなく、釉薬の強い変化や、

濃い色の印象で見せるものでもありません。

基本にあるのは、白という色。

そして、形と質感です。

 

だからこそ白磁は、時にわかりにくい器でもあります。

 

白い器は、私たちの暮らしの中にもたくさんあります。
食卓にも、店にも、さまざまな場所に白い器はあります。
そのため、白磁はひと目で「特別なもの」として伝わりにくいことがあります。

 

白磁の難しさは、まさにそこにあると思っています。

 

白磁は、何も足せない器です。
色や絵で飾ることができないぶん、形、艶、光の受け方がそのまま表れます。

 

白い器は、世の中にたくさんあります。
だからこそ、白磁は一見すると同じように見えてしまうことがあります。

 

けれど、同じ白でも、そこに宿る質感はまったく違います。

 

硬く冷たく見える白。
平面的に見える白。
清潔ではあるけれど、少し味気なく感じる白。

 

その一方で、私が目指しているのは、光を受けた時にやわらかく立ち上がる白です。

私の白磁は、シルクのような光沢をまとわせることで、白の中にやわらかな奥行きを出しています。
料理を盛ると、その白は主張せず、料理の輪郭を静かに引き立てます。

 

清潔感だけではなく、手に取った時に少し上質な空気を感じられる白。
器だけが前に出るのではなく、料理や食卓全体の空気を一段引き上げる白。

 

そのような白磁を目指しています。

 

白磁は数多くあります。
しかし、私がつくりたいのは、その中に埋もれる白磁ではありません。

 

静かでありながら、確かな存在感を持つ白磁。
日々の器でありながら、使う時間そのものを少し上質に変える白磁。

 

それが、私の白磁です。

 

白磁は、派手な器ではありません。
けれど、派手ではないからこそ、ごまかしがききません。

 

形のわずかな歪み。
厚みの違い。
口縁の仕上げ。
光の映り方。
釉薬の艶。

 

そうした細かな部分が、すべてそのまま表れます。

 

私の白磁にあるシルクのような光沢は、白を強く見せるためのものではありません。
むしろ、白をやわらかく、深く見せるためのものです。

 

白の中に、少しの陰影がある。
白の中に、やわらかな艶がある。
白の中に、静かな奥行きがある。

 

そのわずかな違いは、棚に置かれている時よりも、

実際に使われた時に表れてくるように思います。

 

料理を盛る。
お酒を注ぐ。
水を飲む。

 

器は、使われることで表情が変わります。
料理が盛られ、手に取られ、日々の食卓の中に置かれることで、

ようやく本来の姿が見えてくるのだと思います。

 

白磁の器は、料理より前に出る器ではありません。
けれど、料理を弱く見せる器でもありません。

 

むしろ、料理の色や形、艶、余白を静かに受け止める。
そして、食卓全体を整える。

 

そこに、白磁の器としての力があると感じています。

 

色や文様のある器には、その器自身の美しさがあります。
それはとても魅力的です。

 

一方で白磁は、器そのものが強く語るというより、使う人の時間や料理を引き立てることで、

少しずつ存在感を増していきます。

 

派手ではない。
けれど、弱いわけではない。

 

白磁の魅力は、静かな強さにあります。

 

ただ白いだけではない。
けれど、白であることを失わない。

 

その間にある美しさを、私は白磁の器の中で大切にしています。

 

私の白磁が、ただの「白い器」としてではなく、日々の食卓を静かに引き立てる、

ひとつの白として届いていけば嬉しく思います。

 

               料理を引き立てる、シルクの白
               料理を引き立てる、シルクの白