
このたび、熊本・鶴屋百貨店にて個展を開催いたします。
今回の展覧会では、素材への敬意から生まれた「静」と「動」、二つの表現をご覧いただきます。
私の作品の原点には、幼い頃に触れていた粘土の感触と、原石と出会った時の驚きがあります。
柔らかな粘土が、火を通すことで硬質な磁器へと変わっていく。
その変化の中に、私は今も、素材の不思議さと力強さを感じています。
その感覚を形にするために、これまで私は白磁に向き合ってきました。
白磁は、強い色や過度な装飾で語るものではありません。
だからこそ、形、線、光、陰影によって、素材の気配を静かに浮かび上がらせることができます。
その素材の力を、静かに内側へ宿したもの。
それが、私にとっての「静」の表現です。
ろくろで形を整え、線を刻み、釉薬の厚みや光の揺らぎによって、白の奥行きを探る。
その表面には、私が大切にしてきた、シルクのような独自の光沢があります。
強く主張するのではなく、静かに光を受け止め、白の中に柔らかな緊張感を生む。
そこには、静けさの中にある強さと、美しさの奥にある品格があります。
一方で、素材の力を外へ解き放ったもの。
それが、もう一つの「動」の表現です。
ろくろできっちりと成形した形の表面に、さらに粘土を纏わせる。
整えられたフォルムに素材を重ねることで、形はわずかに揺らぎ、変化していきます。
それは、完成された形をただ飾る行為ではありません。
制御された形の中に、素材そのものの力を介入させる仕事です。
粘土を足すことで生まれる厚み、流動性、亀裂、陰影。
その一つ一つは、こちらがすべてを決めるというよりも、
素材が自ら求めた形として現れてくるものだと感じています。
きっちりと整えた形に、あえて素材の力を纏わせる。
その緊張の中から、新たな表情が生まれていきます。
有田という土地で受け継がれてきた技術に向き合いながら、私はいつも自分の原点に立ち返ります。
伝統とは、同じ形を繰り返すことだけではなく受け継いだ技術を通して、
自分の中にある原点をもう一度見つめ直すことでもあるのだと思います。
静かに内側へ宿る力と、外へ向かって動き出す力。
その二つの表現を、白磁を通して見つめています。
今回の個展では、そのような私自身の現在地を見ていただければと思っております。
会期中は、7月8日から7月14日まで、すべて在廊予定です。
作品のこと、制作のこと、素材のことなど、直接お話しできましたら幸いです。
熊本の地で、皆さまに作品と向き合っていただけることを、心より楽しみにしております。
お近くにお越しの際は、ぜひご高覧ください。
庄村久喜展
白磁 − 静と動 −
会期:2026年7月8日(水)〜7月14日(火)
会場:鶴屋百貨店 本館8階 美術
在廊予定:全日在廊


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